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マッチョから君へ

お前が舵を取れ!

(ネタバレ)『渋谷ではたらく社長の告白』

感想

貰いものの本。前記事と同じくわざわざ(ネタバレ)とか書かなくてもいいタイプの本のような気もする。

この本を読むまでサイバーエージェントや創業者かつ現経営者の藤田晋氏についてほとんど何も知らなかったのだが、本書を読み終えて半分くらいは分かったような気がする*1。ITベンチャー界隈を目指す就活生は一読の価値はあるかと思う。

さて、内容についてだが藤田氏の半生記と言う体裁で、学生時にバイトとして株式会社オックスプランニングセンター(現株式会社クラウドポイント)で働き始めてからサイバーエージェント設立、上場後3年くらいまでの描写がメインとなる。

特筆すべきはサイバーエージェント社の設立2ヶ月前まで具体的な事業内容が一切決まっていなかった点と、藤田氏を含む創業メンバー三人にIT知識スキルがほとんどなかったという2点であろう。以前、同社がグーグルやマイクロソフトのようなメガITと比べて技術力がないだのなんだのと言われているのを聞いたことがあったが、そもそも成り立ちが違うので驚くこっちゃない。サイバーエージェントはあくまでインターネット業界の営業代行業者としてスタートした。

創業メンバー三人には営業力があった。そして当時は営業力のあるIT企業が少なかったらしい。同社はウェブマネーの営業代理店としてスタートし、IT企業の営業代行を足掛かりに、バリュークリック社のクリック保証型営業広告を丸パクリ*2して新事業の柱として打ち立てる。ちなみに具体的な経営理念*3、ビジネスモデル、他社との差別化、の話はほぼ出てこない。あえて触れていないと言うよりは本当になかったようだ*4。その代わりに週110時間労働、抜群の営業力、メディア広告、採用活動とハッタリ*5を駆使して事業を拡大していったらしい。

事業についての描写はそのくらいで終了し、後半では上場直後に崩壊したITバブルの後遺症に苦しめられる描写が続く。このあたりの描写を見るとgumiやAppBank等の上場ゴールと言われている銘柄を取り巻く状況と驚くほどよく似ている。と言うか上場から3年間赤字続きだったらまあクソ株扱いされるだろうなあ。しかし当初の宣言通り3年できっちり黒転しているのがすごい。

最近の業績を見てもサイバーエージェントはぐんぐん業績を伸ばしていて、卓越した企業かつ藤田氏は物凄く有能な経営者だとは思うが、この本を読んだだけでは結局なぜこんなに上手くいったのかは良くわからない。こう言うベンチャーは星の数ほどあるんじゃないだろうか。やっぱり経営センスが凄いとしか言えないのか。答えが見つかるかはわからないが時系列的に続編にあたるらしい「起業家」を読んでみようと思う。

*1:とは言え本書の執筆は2005年なので現在ではかなり様変わりしているだろうが

*2:規約までそっくり同じでバリュークリックからクレームがついたらしい

*3:一応「21世紀を代表する会社」、時価総額10兆円という理念を掲げてはいるが前者は具体性がよくわからず、後者はITバブル崩壊後に取り下げてしまう

*4:少なくとも当時は

*5:「ハッタリでもいいから、とりあえず実績を口に出して言ってしまって、次に会うときまでに本当に実績を作ればいいんだ」とは藤田氏がバイト時代にオックスプランニングセンターの専務から教わった言葉